鹿児島に『かるかん』というお菓子があります。漢字で書くと『軽羹』と書きます。字のとおり軽くてソフトで羊羹のような甘いお菓子です。その話をさせていただければと思います。
私は若いころ数年間鹿児島に住んでいたことがありました。鹿児島に来た当初、誰も知っている人がいない街で一人暮らしを始めることになったとき、父が引越しの手伝いに来てくれました。父は引越しの手伝いが終わった後、家への土産にかるかんを買ったらしいです。
↓ かるかんはこんな感じです。
私もそのうち鹿児島の暮らしに慣れ、ときどき実家に帰省するようになると、「おみやげは何にしよう」と思いつつ、偶然にもおみやげとしていつもかるかんを買っていました。(鹿児島ではポピュラーな銘菓ですので、おみやげにするのも普通かもしれません。)
かるかんには大きくわけて2つのタイプがあります。
・周りの皮も中身も同じ材料で白いもの
・周りは白い皮だが中にあんが入っているもの
ちなみに周りの白い皮は自然薯が原材料でして、もちもちしています。
私がもっぱらおみやげに買っていたのは、周りは白い皮で中はあんのタイプです。それが父の好みだったからです。
買って帰省しておみやげを渡すと、父はいつも
「うまい、うまい!」
と言ってたくさん食べてくれました。
それから数十年経過しました。私は現在埼玉に住んでおり、実家に帰省することはそれほど無くなかったのですが、最近帰省することがありまして、久しぶりに父と電話越しでなく直接話す機会がありました。
父は高齢になったせいもあり、昔のことばかり話すようになっていました。その中で父と話しているとき、ふと、かるかんの話が出て、
父は、
「かるかん、懐かしいのー。うまかったのー。」
と言いました。
それを聞いて、『たまには親孝行しなくては』と思った私は、埼玉の自宅に戻ると早速かるかんを送る手配に取り掛かりました。
かるかんと言ってもメーカーはいろいろあるのですが、父は『明石屋』というお店のかるかんが一番好物なようでした(家族によるとそのメーカーのかるかんが父は一番気に入っていたようです。)。そこでネットで明石屋のかるかんを探し出し、実家に送ってもらいました。かるかんは実家に1〜2日くらいですぐ届いたようでした。
(昔は私も実家に帰省の都度、いつも明石屋のかるかんをおみやげに買っていたらしいのですが、私自身はメーカー名までは忘れていました。)
実家にかるかんが届くと、予想以上に父母は喜んでくれました。なにより体力的に弱っていた父が喜んでたくさん食べてくれたと母から聞き、とても嬉しくなりました。甘いものは体力回復につながったかもしれません。
これだけで、少し親孝行ができた気持ちになり、数日いい日々が過ごせそうです。😊